KENの算数・数学教室

算数・数学についてやさしい内容から、入試問題などの応用問題まで紹介し解説をしていこうと思っております。 別に大学の数学科卒ではない一般人ですのでおかしな点にお気づきの場合はご指摘ください。たまには物理や工学系もやってみたいと思います。 出来るだけ多く更新したいと思いますが、今のところ更新は不定期でやっています。

2021年04月

お知らせ

みなさんこんにちは。

身内の近しい(2親等)とある人が転倒し骨折による大けがをしましたので、見舞いや身近な世話、書類整理など様々なことをしなきゃいけなくなり、多忙によりブログの更新が滞っております。
しばらくの間は自身の仕事と病院関係とでブログが更新できないことをお許しください

№9 式の展開②(おき換え)  【数学Ⅰ(高校)】

みなさんこんにちは。

今回も式の展開を扱ってきたいと思います。
今日はおき換えを用いた展開を扱っていきます。
前回は単純に中学の展開公式に少々毛をはやした程度の公式を学びました。
それを踏まえたうえで今回はもう少しだけ踏み込んだ問題です。
前回の№8 式の展開(公式利用)がまだのかたは先にそちらを読まれてみてください。



※以下の問題のリンクを開いてPDFを印刷することで試験風に解いていただくことも可能です。

問題 次の式を展開せよ。
(1) 
(2) 
(3) 



言ってしまえばこの程度なら中3の方ならば解けてしまうかもしれませんね。
例えば(1)だとa-b=AとでもおいてA-cの2乗を計算してAにa-bを代入するだけですしね。




それでは解答に入ります。
解答をPDFにまとめましたのでリンク先を開いてご活用ください。


解 答(1)
人間は学んだことを使って応用していく力があります。
今回はその力を使ってみることにしましょう。
私たちはこの問題を解く公式をしりません。
しかし、似たような公式に前回の公式①

というものがあります。今回はこれを使うことしましょう。

を意味することはお分かりだと思います。
例えばこの式だとa-bが共通しているのでこれを1つとして
考えていきます。
※もちろん-b-cを1つとしてもOKです。
式を整理すると

と書くことができますね。
これで先ほどの公式
を利用することができます。


ここで止めて正解です。
試験などではここで終わって全然OKです。

しかし体裁というか見た目が少々悪いので項の順番を入れ替えをすると
式が見やすくなります。


このような書き方を輪環の順といいます。
ab+bc+acのように書きたいというか書いても問題はないのですが、
a→b→c→aのサイクルを意識して書く書き方(ab+bc+ca)のことです。
この方法で式を整理すると式が見やすくなる利点があります。

今回のようにa-bを1つとしてみなす計算ですが、どうも苦手と言う場合にはa-b=Aとでもおいてみて計算してみてください。
すると

となるのであとはAにもとのa-bを代入して計算するだけとなります。


(2) 
これも基本的に(1)と同じです。
を1つと見なして計算します。
もちろん見やすさ重視でこれを例えばAとおいて計算してもOKです。

今回は前回で言う公式③を使います。

あとは計算をずかずかしていくだけです。




(3)
さあ(1)(2)ときて(3)もどーせおき換えなんでしょ?
と思えるようになったでしょうか?w
タイトルにもある通り今回はおき換えですのでその通りです。

さて今回はどれを1つのくくりとして計算しましょう。
x-3yを・・・と思うと右側はx+3yです。
x+3zとおもいきや右側がx-3z・・・

これにはひと手間を加える必要が出てきます。
右と左の式を見比べるとyとzの係数が異なります。
じゃあ見た目が同じになるようにある作業をすればいいんです。
こうしてみるとどうでしょうか??

勝手に-(マイナス)を左側のかっこにつけてるんだから式が変わってしまうじゃないか!と思わないでください。
マイナスを使って見た目が変わったけど中身が同じことに注目してください。
小かっこを展開すれば同じ式ってことはわかりますので。

ここで3y-3zという1つの塊を発見することができましたね。
見た目重視の方はこれをAとでもおいて計算してください。
これは和と差の積ですので前回の公式②を使います。
ですので

 ☜ここで終わってもOKです

となります。




また、補足として次の式はよく出るので公式として覚えておくと便利かと思います。



今回のは少し簡単だったんではないでしょうか。
次回は少々組み合わせに工夫が必要な式の展開を扱っていきたいと思います。
計算は練習して慣れるしかないので是非お手もちの問題集などで演習しておいてください。



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№8 式の展開①(公式利用) 【数学Ⅰ(高校)】

みなさんこんにちは。

小中高大院専門短大など新入生のみなさんは入学おめでとうございます。

嫌いな教科ランキングって数学が実は上位にきますよね。
特に高校に入るとまず数学Ⅰという数学の科目を履修すると思うんですけど、最初の式の展開や因数分解でもう無理!ってなる人は結構いるように思います。
中学までは問題を見ればパパっと答えが出るような問題、公式を使えば答えが出てくるような問題ばかりでしたので特にそう思う事でしょう。高校からは一発で答えが出るような問題はほとんどないと思います。いろいろ考えてあの公式を使って最終的に論理的に解答を導かなくてはいけません。ですので中学までとは違い答えだけでなく答えに至るまでの過程まで書かなくては正解になりません。
言ってしまえば数学の解答はラブレターのようなものです。順序を守って1つ1つ論理的に書き最後に告白(答え)をしていきます。受け入れられれば○だし、断られれば×ですw
そういうめんどくささのようなものもあってか嫌いと思われがちな教科だと思います。

数学が苦手って思う方のほとんどは数学が難しいからではなく、単に計算力が全然ないからだと思います。ですので数学が苦手な人ほど計算問題を多くこなして計算力を身につけてほしいところです。計算力とは単に計算ができる力だけを言うのではありません。早く正確にやることが大事です。計算力は早くても1年はかかりますので大学入試を考えている方は今のうちに計算力をつけておくことをお勧めします。別に算数の計算からでいいんです。高1だからってなにも難しい問題集の計算問題をする必要はありません。というか計算力がないならそんなのしたってどうしようもないと思います。徐々にレベルを上げていけばいいと思います。数学ができないけど地方国公立や難関大を目指すんだ!といっていきなり青チャートなんか開いたって駄目だと思います。あなたの現在地に合った問題集で勉強していきましょう。
※あくまで私の見解です


それでは今日の問題に移りましょう。
高校に入ってまず躓くであろう式の展開です。
しばらくは数Ⅰの式の展開と因数分解を扱っていこうと思っています。
今日はその第1回目として式の展開①(公式利用)です。

※以下の問題のリンクを開いてPDFを印刷することで試験風に解いていただくことも可能です。

問題
次の式を展開せよ。
(1) 
(2)
(3) (4)
(5) (6)
(7) (8)



前半の4問は中学でもやる内容ですので復習のようなものです。
後半についても1つ1つご丁寧に展開していっても解けますが、
公式を使うことで楽に展開することができます。

それではまずは公式からおさらいしていきましょう。
この公式はそのまますべて覚えてください。
英単語のように見て覚える、書いて覚えるというよりも
公式を見ながら問題を解いていって
”解きながら覚える”
という方法がすんなり覚えられると思います。
当然1問や2問解いたところで覚えられないでしょうからいくつも
反復して練習していってください。

■乗法公式
①               (和・差の平方)
②               (和と差の積)
③       (1次式の積❶)
④  (1次式の積❷)
⑤       (立方の和・差)
⑥       (和・差の立方)
※±や∓を用いて一部公式をまとめて表記しています。
※これらの符号は複号同順です。


それでは上の乗法公式を使って解答していきましょう。
ちなみに公式①~④は中学で履修済みですので復習項目です。



【解 答】
(1)

これは公式①を使います。
中学の復習項目ですので途中式を書かずとも答えを書けなくてはいけない問題ですが、
今回は丁寧に途中式を書いていきたいと思います。

 

(2)

これは2xに5を足したものと引いたものをかけているわけですので
和と差の積と瞬時に判断して公式②を使います。

             

(3)

これは公式③を使います。

           

(4)

これは公式④を使います。
さてここまでが中学の内容です。忘れてしまった方は呼び戻しは成功しましたでしょうか。

              

(5)

ここからが高校数学です。まずこれを見ただけではどの公式?かわからないと思います。
最初は上にまとめた公式とこの問題の式を見比べてみてください。
すると公式の⑤を使うと判断できると思います。
最初はこれでいいんです。何度も何度も反復して練習していくうちに少しずつ
覚えていく努力をしていって、見る頻度を下げるようにしてください。
よって、慣れるにはそれなりの演習量が必要です。

                

(6)

同様に公式⑤を使います。

                 

(7)

公式⑥を使います。

        

(8)

公式⑥を使います。他の問題でもそうですが、複号同順で公式はまとめていますので
符号には注意しましょう。

        

解答の方をPDFにまとめましたのでご活用ください。
解答


以上です。
どうでしたでしょうか?
半分は中学の復習、もう半分は高校で習う範囲でした。
しかし単純に公式を使うだけの問題ですので
式さえ覚えれば中学生でも楽々解けちゃいます。

演習をこなして早く新しく覚える公式に慣れていってほしいと思います。
となると中学までって本当に易しい事しかしてないんだな~と思えましたでしょうか?w
高校数学はまだスタート地点です。ここで心がおれないようにしてほしいと思います。

それでは乗法公式を踏まえて次回は
様々なタイプの式の展開の問題にチャレンジしたいと思います。




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№7 変数分離形の応用例(空気抵抗がある場合の自由落下)【大学物理学】

みなさんこんにちは。
今回は前回の変数分離形の自然科学への応用を扱っていきたいとおもいます。
計算自体は前回やった通りの作業をこなしていくだけですので、今回は微分方程式と自然科学に応用していく例を1つ挙げていくことにより現象を数理モデル(微分方程式)として立式できることを例題で確認したいとおもいます。今回取り扱うものは空気抵抗がある場合の自由落下ですので理系大学生ならだれでも知っているような式です。ですので微分方程式を後から修正したりすることはありません。


それでは解いていきましょう!
※以下の問題のリンクを開いてPDFを印刷することで試験風に解いていただくことも可能です。

問題
空気中を鉛直下向きに落下する物体が速度に比例する空気抵抗を受けるとき,落ち始めてからt秒後の物体の速度をv をm,g,kを用いて表せ。ただし,落ち始めたときの速度は0,物体の質量はm,重力加速度をg,空気抵抗をk とする。



さあまずは問題からのような形の微分方程式を立式しなくてはいけません。
そこで登場するのが運動方程式です。
高校で物理を習った方ならわかるでしょうけれどもma=Fとかいうあれですね。これって実は微分方程式なんです。
加速度aって速度の時間微分ですので

と表記することができますよね。



さて解答に入ります。

【解 答】
まず、運動方程式

を考えます。これは実は微分方程式なんです。
加速度aは速度vの時間微分ですので微分の形で書くならば、

と書くことができますね。

次に右辺の力Fについでですが、自由落下ですので物体には重力mgが常にかかっています。さらに落下しているということは重力とは反対向きの空気抵抗-kvがかかります。
ですので上の微分方程式は次のように書くことができます。


さて、微分方程式を立式したのであとは解くだけです。
数学ではxやyばかりだし、mやgなどの文字もあるので少しややこしく見えますが、変数はvとtです。
速度は時間の変化で決まる関数ということですね。
yがvに、xがtに変わっただけですので注意してください。
解き方ですが、前回やった解法とやることは同じです。
①両辺に変数を分離する
②両辺を積分する
さて解いていきましょう。

変数分離すると

両辺を時間tで積分すると


Cは積分定数)

t=0のときv=0なのだから


よって






となります。


高校までに物理の勉強をきちんとこなしていなかった方からすると文字ばかりでとっつきにくい感じだったかもしれませんが、これはもう慣れるしかないと思います。積分計算も対数が出てきたりと数Ⅲまでの知識も要しますので理工系の大学で入試で数Ⅲが扱われていないような大学(偏差値だと40代など)の学生さんは数Ⅲの教科書を引っ張り出して再度例題からでいいので復習しておいたほうがいいと思われます。
今回は大学新入生向けにexp xやln xなどの表記は避け、高校の教科書で使われるような表記にしておきました。

ちなみに

を意味します。指数が複雑な式の場合は小さすぎて書きにくいし見にくいのでこのような表記を用います。例えば今回の問題の解答をそのように表記するならば、

と書きます。

また、

を意味します。(あてネイピア数eを書いています)
このように表記することもあるということです。
高校数学などではlog xの底がを省略して書く場合、それは eなのが常識だから底が画eのときは省略してもいいと習いますが、世界的にというか自然科学の分野ではそうではないようです。
普通は底がeの場合はln xを用い、明らかに底がeの場合はそれを省略してlog xと書くのが正しいようです。
一般的に log xと書くと底は10(常用対数)を意味します。
ですので関数電卓では、log が常用対数(底が10である対数),ln が自然対数を表します。
関数電卓をお持ちの方(というか理系学生は持っていると思われる)は試してみるといいでしょう。特に理系学部の新入生の方は関数電卓の使い方に慣れるためにもいろいろ触ってみて覚えてください。
また、このような表記は一般的な大学の講義では高校までの授業のようにいちいち教授などが教えてくれることはありません。講義が終わった後にでも自分で調べて覚えていく形が普通だと思います。または、講義中や後に質問してみるといいかもしれませんね。

また、微分方程式は変数分離形だけではありません。また変数がさらに増えた偏微分方程式なるものもあるのでチャレンジしてみてください!



解答の方をPDFにまとめましたのでご活用ください。
解答


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