みなさんこんにちは。
今回は前回の変数分離形の自然科学への応用を扱っていきたいとおもいます。
計算自体は前回やった通りの作業をこなしていくだけですので、今回は微分方程式と自然科学に応用していく例を1つ挙げていくことにより現象を数理モデル(微分方程式)として立式できることを例題で確認したいとおもいます。今回取り扱うものは空気抵抗がある場合の自由落下ですので理系大学生ならだれでも知っているような式です。ですので微分方程式を後から修正したりすることはありません。


それでは解いていきましょう!
※以下の問題のリンクを開いてPDFを印刷することで試験風に解いていただくことも可能です。

問題
空気中を鉛直下向きに落下する物体が速度に比例する空気抵抗を受けるとき,落ち始めてからt秒後の物体の速度をv をm,g,kを用いて表せ。ただし,落ち始めたときの速度は0,物体の質量はm,重力加速度をg,空気抵抗をk とする。



さあまずは問題からのような形の微分方程式を立式しなくてはいけません。
そこで登場するのが運動方程式です。
高校で物理を習った方ならわかるでしょうけれどもma=Fとかいうあれですね。これって実は微分方程式なんです。
加速度aって速度の時間微分ですので

と表記することができますよね。



さて解答に入ります。

【解 答】
まず、運動方程式

を考えます。これは実は微分方程式なんです。
加速度aは速度vの時間微分ですので微分の形で書くならば、

と書くことができますね。

次に右辺の力Fについでですが、自由落下ですので物体には重力mgが常にかかっています。さらに落下しているということは重力とは反対向きの空気抵抗-kvがかかります。
ですので上の微分方程式は次のように書くことができます。


さて、微分方程式を立式したのであとは解くだけです。
数学ではxやyばかりだし、mやgなどの文字もあるので少しややこしく見えますが、変数はvとtです。
速度は時間の変化で決まる関数ということですね。
yがvに、xがtに変わっただけですので注意してください。
解き方ですが、前回やった解法とやることは同じです。
①両辺に変数を分離する
②両辺を積分する
さて解いていきましょう。

変数分離すると

両辺を時間tで積分すると


Cは積分定数)

t=0のときv=0なのだから


よって






となります。


高校までに物理の勉強をきちんとこなしていなかった方からすると文字ばかりでとっつきにくい感じだったかもしれませんが、これはもう慣れるしかないと思います。積分計算も対数が出てきたりと数Ⅲまでの知識も要しますので理工系の大学で入試で数Ⅲが扱われていないような大学(偏差値だと40代など)の学生さんは数Ⅲの教科書を引っ張り出して再度例題からでいいので復習しておいたほうがいいと思われます。
今回は大学新入生向けにexp xやln xなどの表記は避け、高校の教科書で使われるような表記にしておきました。

ちなみに

を意味します。指数が複雑な式の場合は小さすぎて書きにくいし見にくいのでこのような表記を用います。例えば今回の問題の解答をそのように表記するならば、

と書きます。

また、

を意味します。(あてネイピア数eを書いています)
このように表記することもあるということです。
高校数学などではlog xの底がを省略して書く場合、それは eなのが常識だから底が画eのときは省略してもいいと習いますが、世界的にというか自然科学の分野ではそうではないようです。
普通は底がeの場合はln xを用い、明らかに底がeの場合はそれを省略してlog xと書くのが正しいようです。
一般的に log xと書くと底は10(常用対数)を意味します。
ですので関数電卓では、log が常用対数(底が10である対数),ln が自然対数を表します。
関数電卓をお持ちの方(というか理系学生は持っていると思われる)は試してみるといいでしょう。特に理系学部の新入生の方は関数電卓の使い方に慣れるためにもいろいろ触ってみて覚えてください。
また、このような表記は一般的な大学の講義では高校までの授業のようにいちいち教授などが教えてくれることはありません。講義が終わった後にでも自分で調べて覚えていく形が普通だと思います。または、講義中や後に質問してみるといいかもしれませんね。

また、微分方程式は変数分離形だけではありません。また変数がさらに増えた偏微分方程式なるものもあるのでチャレンジしてみてください!



解答の方をPDFにまとめましたのでご活用ください。
解答


ポチッとお願いします!


学問・科学ランキング


数学ランキング


人気ブログランキング