こんにちは。
今日は微分方程式について扱いたいと思います。
微分方程式といってもいくつか種類があり今回はまず、微分方程式とは何かを紹介するだけにとどめたいと思います。
1.微分方程式とは??
みなさんが、中学校や高校で習った1次方程式、2次方程式、連立方程式、指数方程式、対数方程式・・・・・など方程式には形を変えれば様々なものがあります。
復習がてら方程式を1問解いてみましょうかw
まだ2次方程式を習っていない中1中2の方には解けないと思いますが、言うまでもなく解の公式(平方完成でも可)を使えば
となります。
高校までに勉強してきた方程式にはある共通する特徴があります。
それは皆さんが解いた解が何らかの”数”であるということです。
言い換えるならば、皆さんが高校までやってきた方程式を解くとは
式を満たすx(数)を見つける作業
のことを言います。
つまり未知である数を見つけるわけですね。
このような方程式を代数方程式と言います。
それに対して微分方程式とは適当に、
のように、関数yと、その導関数(高階導関数も含む)含まれるような関数の方程式になります。
よって未知なのはこれまでのような数ではなく、関数です。
微分方程式を解くというのは
式を満たす”xの関数”を見つける作業
のことを言います。
のように、1変数関数(y=f(x))とその導関数からなる微分方程式を常微分方程式、一方で多変数関数(z=f(x,y)など)とその偏微分からなる微分方程式を偏微分方程式といいます。
それではまず、超単純な式を見れば解けてしまう微分方程式からやってみようと思います。
を解いてみましょう。
一応補足ですが、とはy'のことです。
と書けばイメージしやすいかもしれませんが、関数yをxで微分したものという意味です。
2階微分も同様にと表記します。
この微分方程式は微分方程式を習っていない数学Ⅲを履修するような理工系志望の高校生ならば考えれば解けてしまうようなものです。
[解]
xで微分すると自分自身(y)になるような関数ってどこかで習いませんでしたか?
そうです、指数関数のことです。
こいつは何回微分しようがでしたよね。
求める解は、 です。
はxで微分しても形を変えないため、を満たしていますよね。
再度書きますが、このように、微分方程式とは関数を求める方程式のことを言います。
ただよく考えてみると他にもあります。
例えばならばどうでしょう。
同じく微分すると形を変えない関数です。
の係数が3でも4でも5でも・・・微分しても形は同じです。
にどんな係数がついても、微分したところで形は変わりません。
じゃあこの方程式の解をこう書くとしましょう。
(Cは任意定数)
これで係数Cがどんな数でもこの方程式の解を満たすことができます。
C=0のとき、y=0ですが、微分しても形を変えないのは言うまでもないとおもいます。
あとCがxの関数だと困るのできちんと”任意定数”と書いておきましょう。
2.簡単な微分方程式を解いてみよう!
今現在微分方程式とは何かをほんわか知った段階です。微分方程式の解法を知らなくても大丈夫なくらい簡単なものです。大学の定期試験でもこんなの出ないのではないでしょうか。
(例題)次の微分方程式を解け。
(1) (2)
[解]
微分方程式を解くとは式を満たす関数を求めることでした。
(1)
微分すると3x+5となる関数yって何でしょうか。
もう見当はついているでしょうか。
微分してそうなるならば両辺をxで積分すればいい話です。
よって
(Cは任意定数)
となります。
ここで語句の説明をしますが、微分方程式に任意定数Cがついたものを一般解といいます。任意定数があることで任意性を残した一般化された解ということでこの名称がつきます。
物理学や工学などでは一般解のように任意性を残したものとちがって、しっかりとした1つの関数を求めなくてはいけません。
数学上では任意性が残るのに物理学等ではなぜそうなのか?ということですが、それは初期条件が与えられるからなのです。
例えばこの問題での初期条件を
としましょう。初期条件という関数のある点における情報を与えることによって、微分方程式を満たす関数の中で、y(0)=0を満たす関数を知ることができます。今回は適当にこの初期条件を与えることにしました。演習等では初期条件が問題で与えられています。
それではこの初期条件を満たす関数を求めて生きたいと思います。
にx=0を代入してCを求めなければなりません。
y(0)=0より、C=0
∴
これが微分方程式を満たすかつ、初期条件を満たす関数となります。
このようなある特定の初期条件を満たす関数(微分方程式の解)を特殊解といいます。
ここまでは超簡単な微分方程式を用いて語句などの説明をしてきました。
では少し踏み込んだ例題(2)を解いていきましょう。
踏み込んだとはいえまだまだ簡単なことです。
(2)では初期条件が与えられていますね。
今回は2階微分されていますね。
今回も積分すればいいだけの問題です。
両辺をxで積分すると、
(C1は積分定数)
となります。もう1回積分することになるので同じ記号だとごちゃごちゃするので積分定数をC1としています。
y=~にしたいので、これをさらにxで積分すると
となります。これがこの微分方程式の一般解です。任意定数を含むのでほんわかとしています。
これを初期条件(グラフ上である点を通るという条件)を与えてちゃんとした1つの関数(特殊解)を求めていきます。
ふつう、2階微分された微分方程式では2回積分するのでCが2つ出てきます。よって初期条件も2つ必要となってきます。
それでは初期条件を使って一般解を求めたいとおもいます。
より、
同様に、
より、
以上より
これが特殊解です。
さあ微分方程式を解いてみたわけですが、どうでしょうか?
楽しいでしょうか?w
楽しいと思った方はまだ超簡単な微分方程式しか解いていないからかもしれません。
微分方程式はとても難しいと思っていいとおもいます。
だから高校までは代数方程式を扱い(数Ⅲ履修者は微分方程式の若干さわり程度はやっていると思うが)、大学から微分方程式を扱うのも納得できる部分はあります。
3.自然科学と微分方程式
ここはさらっと流す程度としますが、自然科学の分野で微分方程式というものが使われます。
理学や工学等の分野では、ある現象をまず観察します。現象の変化を見ることとします。変化を見ることによって法則を見つけ出し、現象の変化を式として記述することができます。この式が通常は微分方程式となるわけです。この現象を式として微分方程式として記述しました。この式を数理モデルと言ったりします。この式を解くことによってある関数を得ます。大学の微分方程式の講義で扱うのは主に最後のこの作業だけです。あらかじめ用意された数理モデルを解くだけです。これだけでも難しいのに自然科学の分野等ではそもそも解かなければならない数理モデルを現象からモデル化しなければならないのが大変です。
あらゆる現象を観察し、現象を数理モデル化したのがあのニュートンと言われています。リンゴを高いところから落としてみたあのおじさんのことです。ニュートンはありとあらゆる現象は微分方程式で記述できることを発見しました。つまり、微分方程式の講義や演習では誰かが見つけてくれたものを解いているに過ぎないんですね。
ただ、モデル化した微分方程式ですが、その解(関数)が現実(現象)に反映しない場合もあり、その都度微分方程式を修正することが多くあります。それを繰り返して数理モデルが完成していきます。
4.終わりに
今回はここまでにしたいと思います。
次は微分方程式の中でも代表的な変数分離形の微分方程式を扱っていきたいとおもいます。
お楽しみに!
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今日は微分方程式について扱いたいと思います。
微分方程式といってもいくつか種類があり今回はまず、微分方程式とは何かを紹介するだけにとどめたいと思います。
1.微分方程式とは??
みなさんが、中学校や高校で習った1次方程式、2次方程式、連立方程式、指数方程式、対数方程式・・・・・など方程式には形を変えれば様々なものがあります。
復習がてら方程式を1問解いてみましょうかw
まだ2次方程式を習っていない中1中2の方には解けないと思いますが、言うまでもなく解の公式(平方完成でも可)を使えば
となります。
高校までに勉強してきた方程式にはある共通する特徴があります。
それは皆さんが解いた解が何らかの”数”であるということです。
言い換えるならば、皆さんが高校までやってきた方程式を解くとは
式を満たすx(数)を見つける作業
のことを言います。
つまり未知である数を見つけるわけですね。
このような方程式を代数方程式と言います。
それに対して微分方程式とは適当に、
のように、関数yと、その導関数(高階導関数も含む)含まれるような関数の方程式になります。
よって未知なのはこれまでのような数ではなく、関数です。
微分方程式を解くというのは
式を満たす”xの関数”を見つける作業
のことを言います。
のように、1変数関数(y=f(x))とその導関数からなる微分方程式を常微分方程式、一方で多変数関数(z=f(x,y)など)とその偏微分からなる微分方程式を偏微分方程式といいます。
それではまず、超単純な式を見れば解けてしまう微分方程式からやってみようと思います。
を解いてみましょう。
一応補足ですが、とはy'のことです。
と書けばイメージしやすいかもしれませんが、関数yをxで微分したものという意味です。
2階微分も同様にと表記します。
この微分方程式は微分方程式を習っていない数学Ⅲを履修するような理工系志望の高校生ならば考えれば解けてしまうようなものです。
[解]
xで微分すると自分自身(y)になるような関数ってどこかで習いませんでしたか?
そうです、指数関数のことです。
こいつは何回微分しようがでしたよね。
求める解は、 です。
はxで微分しても形を変えないため、を満たしていますよね。
再度書きますが、このように、微分方程式とは関数を求める方程式のことを言います。
ただよく考えてみると他にもあります。
例えばならばどうでしょう。
同じく微分すると形を変えない関数です。
の係数が3でも4でも5でも・・・微分しても形は同じです。
にどんな係数がついても、微分したところで形は変わりません。
じゃあこの方程式の解をこう書くとしましょう。
(Cは任意定数)
これで係数Cがどんな数でもこの方程式の解を満たすことができます。
C=0のとき、y=0ですが、微分しても形を変えないのは言うまでもないとおもいます。
あとCがxの関数だと困るのできちんと”任意定数”と書いておきましょう。
2.簡単な微分方程式を解いてみよう!
今現在微分方程式とは何かをほんわか知った段階です。微分方程式の解法を知らなくても大丈夫なくらい簡単なものです。大学の定期試験でもこんなの出ないのではないでしょうか。
(例題)次の微分方程式を解け。
(1) (2)
[解]
微分方程式を解くとは式を満たす関数を求めることでした。
(1)
微分すると3x+5となる関数yって何でしょうか。
もう見当はついているでしょうか。
微分してそうなるならば両辺をxで積分すればいい話です。
よって
(Cは任意定数)
となります。
ここで語句の説明をしますが、微分方程式に任意定数Cがついたものを一般解といいます。任意定数があることで任意性を残した一般化された解ということでこの名称がつきます。
物理学や工学などでは一般解のように任意性を残したものとちがって、しっかりとした1つの関数を求めなくてはいけません。
数学上では任意性が残るのに物理学等ではなぜそうなのか?ということですが、それは初期条件が与えられるからなのです。
例えばこの問題での初期条件を
としましょう。初期条件という関数のある点における情報を与えることによって、微分方程式を満たす関数の中で、y(0)=0を満たす関数を知ることができます。今回は適当にこの初期条件を与えることにしました。演習等では初期条件が問題で与えられています。
それではこの初期条件を満たす関数を求めて生きたいと思います。
にx=0を代入してCを求めなければなりません。
y(0)=0より、C=0
∴
これが微分方程式を満たすかつ、初期条件を満たす関数となります。
このようなある特定の初期条件を満たす関数(微分方程式の解)を特殊解といいます。
ここまでは超簡単な微分方程式を用いて語句などの説明をしてきました。
では少し踏み込んだ例題(2)を解いていきましょう。
踏み込んだとはいえまだまだ簡単なことです。
(2)では初期条件が与えられていますね。
今回は2階微分されていますね。
今回も積分すればいいだけの問題です。
両辺をxで積分すると、
(C1は積分定数)
となります。もう1回積分することになるので同じ記号だとごちゃごちゃするので積分定数をC1としています。
y=~にしたいので、これをさらにxで積分すると
となります。これがこの微分方程式の一般解です。任意定数を含むのでほんわかとしています。
これを初期条件(グラフ上である点を通るという条件)を与えてちゃんとした1つの関数(特殊解)を求めていきます。
ふつう、2階微分された微分方程式では2回積分するのでCが2つ出てきます。よって初期条件も2つ必要となってきます。
それでは初期条件を使って一般解を求めたいとおもいます。
より、
同様に、
より、
以上より
これが特殊解です。
さあ微分方程式を解いてみたわけですが、どうでしょうか?
楽しいでしょうか?w
楽しいと思った方はまだ超簡単な微分方程式しか解いていないからかもしれません。
微分方程式はとても難しいと思っていいとおもいます。
だから高校までは代数方程式を扱い(数Ⅲ履修者は微分方程式の若干さわり程度はやっていると思うが)、大学から微分方程式を扱うのも納得できる部分はあります。
3.自然科学と微分方程式
ここはさらっと流す程度としますが、自然科学の分野で微分方程式というものが使われます。
理学や工学等の分野では、ある現象をまず観察します。現象の変化を見ることとします。変化を見ることによって法則を見つけ出し、現象の変化を式として記述することができます。この式が通常は微分方程式となるわけです。この現象を式として微分方程式として記述しました。この式を数理モデルと言ったりします。この式を解くことによってある関数を得ます。大学の微分方程式の講義で扱うのは主に最後のこの作業だけです。あらかじめ用意された数理モデルを解くだけです。これだけでも難しいのに自然科学の分野等ではそもそも解かなければならない数理モデルを現象からモデル化しなければならないのが大変です。
あらゆる現象を観察し、現象を数理モデル化したのがあのニュートンと言われています。リンゴを高いところから落としてみたあのおじさんのことです。ニュートンはありとあらゆる現象は微分方程式で記述できることを発見しました。つまり、微分方程式の講義や演習では誰かが見つけてくれたものを解いているに過ぎないんですね。
ただ、モデル化した微分方程式ですが、その解(関数)が現実(現象)に反映しない場合もあり、その都度微分方程式を修正することが多くあります。それを繰り返して数理モデルが完成していきます。
4.終わりに
今回はここまでにしたいと思います。
次は微分方程式の中でも代表的な変数分離形の微分方程式を扱っていきたいとおもいます。
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